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第33話 例え全部嘘でも、俺は信じてる

Author: 東雲明
last update publish date: 2026-08-19 17:18:23
「うそ…だろ。なんで…お前…そんな」

 声が震えた。

 広大な玉座の間へ放たれたはずの言葉は、黒い柱と高い天井に何度も反響し、最後には冷たい石の壁へ吸い込まれていった。

 返事はない。

 正面に立つミユウは、俺が知る白い翼の少女ではなかった。

 銀色の髪は変わらない。細い頬も、透き通るような瞳も、何度も俺へ笑いかけてくれた顔も同じだ。

 けれど、その背中から広がっている翼だけが、夜よりも深い黒に染まっていた。

 一枚一枚の羽根から闇色の魔力がこぼれ落ち、床を這う霧となって彼女の足元へ絡みついている。青白い燭台の炎が黒い翼に遮られ、ミユウの顔には凍りついたような影が差していた。

 違う。

 姿だけじゃない。

 俺を見る目に、あのあたたかさがない。

「ミユウ……」

 名前を呼び、一歩踏み出した瞬間、胸の奥で冷たい輪が縮んだ。

「ぐっ……!」

 心臓を内側から握り潰されるような衝撃に、身体が前へ折れる。

 俺は胸を押さえた。螺旋階段を駆け上がっていたときから続いている異変が、玉座の間へ入ってから急激に強まっている。

 乱れた呼吸が、やけに大きく響いた。

 床へ膝が落ちそうになる。

 それでも
東雲明

今回は、堕天使となり、執拗な攻撃や裏切りの言葉を浴びせられても、無闇にミユウを攻撃せず、彼女の本当の心を信じる龍夜くんの優しさが描かれています。今回もおもしろいと思われましたら是非評価、ブクマ、レビューいただけると泣いて喜びます。

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